ケリー・マクゴニガル『スタンフォードの自分を変える教室』を読んだ
『スタンフォードの自分を変える教室』を一言で表すと”さまざまな面から「意志」とは何かを知るための本”
ケリー・マクゴニガル『スタンフォードの自分を変える教室』
表題は「自分を変える教室」となっているけれど、「意志」とは何か、どうして人間の意志は弱いのか、を知っていくことで、自分を変えるためにはどうすればいいのか考えていこう、という本。
本の大半は「意志」とは何か、どうして「意志」がくじけてしまうのか、といったことについて脳科学や心理学などさまざまな分野からの解説が占めている。
具体的に、こうやって目標を立ててこうやって進めていって、と手取り足取り自分を変えるための方法が書いているわけではない。
ただ、この本にある「意志」とは何かを知ることは、自分を変えるうえで大きな味方になると思う。
メニューにサラダがあるだけで、高カロリーな食事を選ぶ!?
中でも一番面白いと思ったのが、メニューにサラダが載っているだけなのに、高カロリーなものを選んでしまう、という話。
これは食事に関して自制心が強いと自負する人々を対象にした実験。
メニューにサラダがない場合には最も太りそうなものを選ぶ人は10%に過ぎなかったのに、メニューにサラダがのっている場合、50パーセントものひとがそれを選んでしまった、という。
メニューに載っているだけ、サラダを選んでいるわけではないのに、50パーセントもの人が高カロリーな食事を選んでしまうとは…!
なぜこんな行動をとってしまうかという解説には、ヘルシーなものは今度でいいや、という、「明日は今日と違う選択ができるに違いない」と人の考え方の習性による、とのこと。
これは衝撃的だった。
確かに自分にも、「明日ならやれるはず」と思う心はある。
今日は疲れているから、今日はちょっと体調が悪いから、でも明日はやれる、という心。
今までは本気でそう思っていたが、この本を読んでそれは思い込みに過ぎないということをまざまざと見せつけられた。
「明日はやれる」は思い込みに過ぎない。
明日もできない、明日もやってしまう、と考えるようになると、気軽に「明日でいいか」とは思えない。
この「明日はもっとできる」という精神については、別の実験も示されていて、それも興味深い実験結果だった。
このように、『スタンフォードの自分を変える教室』では、さまざまな実験などから人間の「意志」とはどのようなものか、を改めて問いただしている。
読むだけでは変われない。ただ知ることは大きな強みになる
この本を読んだだけで「自分を変える」のは難しいと思う。
ただしこの本を読んで、自分の意志の弱さの理由やそれをどう克服するかを知ることはできる。
それを知るだけでも、「自分を変える」ことの大きな強みになる。
おわり。
おまけ
なんか固い文になっちゃったなー、反省。
この本、原文が合わないのか翻訳が合わないのか、どうにも読みづらくて仕方なかった。
内容はとても興味深いのだけど、文章がどうも合わない…。
文章の好みの問題だとは思うけれど、少しずつしか読めなかった。でも内容はとてもおもしろいのでおすすめ。
ダイエッターや禁煙したい人は特におすすめ
つい最近文庫も出たらしい。